My Life Style 小寺良二オフィシャルブログ

小寺良二オフィシャルブログ。若者キャリア支援のプロが語る自分のLife Styleの見つけ方。

32歳でボクシングのプロテストを受ける理由

いきなりで大変恐縮ですが、

 

実は私、3日後の11月17日(月)に後楽園ホールでボクシングのプロテストを受けてきます。

 

現在日本ボクシングコミッションが設定しているルールでは、プロテストを受けられるのは17歳〜32歳まで。そして私は現在32歳なので年齢制限ギリギリでの挑戦となります。

 

なんでいきなり?!と思う人も多いかと思うので、なぜ私が32歳でボクシングのプロテストを受けようと思ったのかを少し書きたいと思います。

 

実はもともと大学時代にアメリカに留学する前の2年間は、日本の新宿にあるジャパンキャンパスに通っていたので、何かスポーツをやろうかなと始めたのがボクシングでした。たまたま寮と大学の間に結構有名な協栄ボクシングジムがあって、興味本位で見学したのがきっかけです。

 

そしてトレーナーでついてくれたのが、当時いたジミンさんという60歳を超えるロシア人のトレーナー。ジミンさんは実はすごい人で、元ソ連のオリンピックナショナルチームのトレーナーをやった後に、協栄ジムに来て、勇利アルバチャコフやナザロフといった世界チャンピオンを育てた人。漫画「はじめの一歩」とかにも登場人物のモデルになっちゃうような人でした。

 

そんなジミンさんのもとでほぼ週5でジムに通い練習していたので、かなり腕も上がり、日本チャンピオンのスパーリングパートナーとかもやらせてもらいました。留学する前提だったので、プロにはなる予定はなかったのですが周りのトレーナーなどは「プロテストだけでも受けてライセンスは取っておけば?」と言ってくださったので、ジミンさんに「プロテストを受けようと思うんだけど・・」と相談したら、

 

ジミンさんは片言の日本語で、

 

「アナタエデュケーションアル、プロ、ゼッタイダメ!」と大反対されました。

 

要は自分は大学に通っていて、しかもアメリカ留学までしようとしている。ある意味教育という武器を将来のために持とうとしているじゃないかと。それをボクシングなんかやって、もし万が一いいパンチが当たって事故でも起こったらお前の人生が全部ダメになる。お前はボクシングなんかやったらダメだ!ということだったのです。

 

ジミンさんは何十年もの間数多くのボクサーを見てきて、何人もボクシングで人生を壊してしまった若者を見てきたようです。だからその中でプロになってリスクを犯してでもチャレンジすべき人と、そのリスクを犯すべきじゃない人をしっかり分けてるみたいでした。

 

ここまでボクシングに打ち込んで実力もつけたんだから、プロライセンスくらい取っておけよと思ってくれる人も多く、あるトレーナーはジミンさんには内緒でプロテストの申し込み用紙を持ってくれる人もいました

 

でも無駄に生真面目だった自分はそのお誘いお丁寧にお断りし、そのまま渡米し、卒業後社会人になりました。

 

ただあまり物事に後悔するタイプではないのですが、社会人生活をしている中で「もし人生でやっておけばよかったと思うことは?」と聞かれると、頭に浮かぶのは大学時代のプロテストへの挑戦でした。あの頃にしか出来なかったことだし、プロとして活動はできなくても、自分の人生の中の1つの証になると思ったからです。

 

時々ジムに遊びに行くと、ジミンさんはもうジムにはいませんでしたがその頃からお世話になっていた日本人トレーナーが「いつプロテスト受けるの?」と冗談混じりで聞いてきてくれました。

 

「いつかは・・」と心の中で思いつつもそのまま月日は流れ、その当時プロテストの年齢制限だった29歳の誕生日を迎えました。なのでその時点でその夢への挑戦は諦めました

 

しかし昨年の8月、社会人になってからしばらくジムに行っていなかったのでひさしぶりに訪問すると、そのトレーナーの方が「プロテストの年齢制限が変更になったよ」と教えてくれました。そして戸惑う私に「挑戦するんでしょ?」と当たり前のように言ってくれました。

 

実はそのトレーナーこそが、私が学生時代にジミンさんに内緒でプロテストを受けるチャンスを作ってくれようとして頂いた新井トレーナーだったのです。

 

しかし昨年31歳の私は当然ですが仕事も忙しく、10年間スポーツも何もやってなかったので体力も大学時代とは比べものにならないほど落ちていました。ジムでトレーニングできる時間も限られている中で、果たしてチャレンジすべきかどうか迷っていましたが、新井トレーナーの一言が私に勇気をくれました。

 

「プロテストに受かっても今の仕事にはまったく役に立たないかもしれない。でも人の挑戦を応援する仕事してるんでしょ?んじゃ自分が挑戦する姿を見せることで勇気づけられる人もいるんじゃないのかな」

 

まさにその通りでした。

自分は若者の就職支援をする仕事をしています。

 

いつも若者に「チャレンジしよう!」「諦めるな!」と言っている側です。そんな自分がチャレンジしてるかと言われると・・正直自信がありませんでした。

 

だから決めました。失敗するかもしれないし、負けるかもしれないけどチャレンジしてみようと自分が伝えたいことを、口だけではなくて自分の体験を通じて伝えようと

 

そしてこの1年間、とても地味ではありましたが、走ったり、ジムに行ったりしながら自分を磨いてきました。諦めそうになったことは3回ほどありましたが、なんとか続けることができました。体重も昨年82kgほどありましたが、現在は72kgになり、大学時代と同じ体重になりました。

 

本当はもっと早くチャレンジしたかったのですが(大変なので・・)、なかなか自分の納得するコンディションになるのに1年以上もかかってしまいました。

 

そして3日後の11月17日に挑戦してきます。

当然受かるかもしれないし、落ちるかもしれません

でもそれは就職活動をする若者も同じですし、人生でよくあることです。

 

32歳の挑戦、ぜひ楽しんで来ようと思います!