My Life Style 小寺良二オフィシャルブログ

小寺良二オフィシャルブログ。若者キャリア支援のプロが語る自分のLife Styleの見つけ方。

教育のプロに聞いた”東大生”の育て方

東大生は一体何が優れているのか?

「東大生の親は金持ち」とは本当だったのか。

教育統計学者の舞田敏彦氏が発表した「東大生の家庭の年収分布」と題したグラフが話題となっている。世帯主が40~50歳で世帯年収が950万円以上ある家庭の割合は、一般世帯で22.6%に対し、東大生の家庭では57.0%を占めたという。

f:id:ryoji-kodera:20150212121848j:plain

 

”東大生”と聞くと「頭がいい」、「勉強ができる」というイメージを持つ人も多いが、若者の人材育成に関わっている私としては東大生が持っている力を「頭脳」だけに集約させてしまうのは違和感がある。私の感覚では、もう少し広い定義で「物事に主体的に一生懸命取り組みトップを目指せる人」だと思う。

 

どんなに高いお金を払って塾に行かせて勉強させても、本人が「主体的」に勉強に取り組まなければ学力は東大に行けるレベルには伸びないだろうし、そこそこ名のある大学で満足してしまってはトップにはなれない。そういった点では東大生は一生懸命取り組む対象がたまたま「勉強」だっただけで、もしそれが「運動」であったならオリンピック代表選手もある意味”東大生”だろう。

 

ではどうすれば我が子を”東大生”に育てれるのだろうか。私が仕事で会うのは大学生や若手社会人が多いので、今回はその子育ての秘訣を幼少期(4歳〜6歳)と青年期(13歳〜18歳)の子ども達と関わってきた経験が豊富な教育のプロに聞いてみた。

 

子どものDNAより大切なもの

関東を中心に90以上の保育園を経営する社会福祉法人の理事長は、長く保育現場で幼少期の子どもと接してきた経験から次のような確信を持ったらしい。

 

「やはりDNAというものの存在は大きく、親がもともと持っている潜在的IQが高いと子どもも幼少期から知能が発達している傾向はあります。」

 

この観点では親の学歴や潜在的知能が高いとその子どもも「勉強ができる子」になりやすいということになる。では知能は生まれつき決まっていて「子育て」ではどうにもならないのだろうか。理事長は「決してそんなことはない」と言う。

 

「実際に金を持っている東大卒の親が子どもを学費の高い塾に入れても、うまくいかないことが多い。子どもの能力が高くてもやる気を持ったり自分から取り組む姿勢がないとすぐに他の子どもに抜かれてしまいます。」

 

子どもの能力は当然親からのDNAの影響も大きいが、それ以上に子育てを通じた子どものやる気や取り組み姿勢をどう高めるかが重要ということがわかる。

 

ではどうやって子どものやる気や取り組み姿勢を高めていけば良いのだろうか?

 

その先にあるものを示しハンドルを持たせる

実際に大学受験に挑戦する高校生と接する経験の多い大手学習塾の社員は、このように話していた。

 

学力の高い子どもは基本的に努力家であることが多く、自分の中で”納得して”勉強に取り組んでいたように思います。逆に勉強はしているけれど、親のプレッシャーが強い子どもは、どこかで頭打ちになっている印象が強いです。」

 

”東大生”になる条件である「主体的に勉強に取り組む」ためには本人が”納得して”取り組んでいるかが大きいようだ。では親の学歴や経済的な豊かさはどのように影響するのだろうか。

 

「経済的に余裕のある家庭の保護者=それなりの地位・仕事を得ている=自分自身も勉強をしてきた、つまり「勉強の価値」を親自身が理解していることで、子どもに対するアプローチや、子ども自身が勉強の必要性を感じる機会を創出できているのではないかと思います。」

 

つまり親の学歴が高かったり、経済的に豊かだから子どもが勉強に取り組むのではなく、それらの経験や環境を活用しながら子どもに「勉強を頑張った先に得られるメリット」をしっかり伝えて理解させている点が重要なのだ。

 

そして一度その先にあるものを示したら子どもを信じて見守る姿勢も大切のようだ。大手学習塾の社員も「俯瞰しながらあまり細かく口出ししない親を持つ子の方が成績は良かったと思われます。」と言っていた。いつまでも親がハンドルを握っているようでは、大学受験だけでなくその先の就職活動や社会人生活でも本人は親に依存することになるだろう。

 

私は決して東大生が偉いとも、人生の成功者だとも(その時点では)思っていないが先に述べた「物事に主体的に一生懸命取り組みトップを目指せる力」の持ち主としては十分評価に値する人材だと思う。

 

そしてもしその力が親の子育てによって培われるのであれば、その力を自分の人生でどのように活かしていくのかは、ぜひ子どもにハンドルを委ねて見守ってほしい。