My Life Style 小寺良二オフィシャルブログ

小寺良二オフィシャルブログ。若者キャリア支援のプロが語る自分のLife Styleの見つけ方。

自分の天職を教えてくれた上司の言葉

「向いていない」という言葉の本当の意味

4月に企業に入社した新入社員も、少しずつ職場に馴染んできた頃ではないだろうか。会社の先輩たちからも日々仕事や社会人生活へのアドバイスをもらっていることだろう。

 

そんな中、先日ソニー生命がこの春就職する、または就職してから1年経つ20~29歳の男女に対して行った調査で「先輩から言われてやる気を奪われてしまうセリフ」の1位が「この仕事向いてないんじゃない?」(36.7%)だったことが印象的だった。

 

確かに誰でも今やっている仕事が「向いていない」と言われて嬉しい人はいない。若手社員がやる気を奪われても当然なのだが、私は実はこの言葉が「自分の天職」を教えてくれた言葉だと思っている。

 

自分の社会人スタートは外資系のコンサルティング会社だったが、職場の先輩で1人「外資コンサルタントっぽくない人」がいた。その先輩は中途でその会社に入社したのだが、キャバクラの店長や車のディーラーをやっていたりと変わったキャリアなのにも関わず仕事が出来る人で、とても自分によくしてくれていたし仕事の仕方もたくさん教えてもらった。

 

そんなある日、その先輩と仕事をしている最中にその先輩がポロっと「お前、デスクワーク向いてないんじゃない?」と言ってきた。

 

本来であればアンケートの結果通りにやる気を奪われてもおかしくないセリフだったのが、その時はなぜか落ち込むことはなく逆にあることを考えるようになった。

 

「んじゃ、オレに向いている仕事の仕方ってなんだろう」

 

その時は単純に「デスクワーク=机に座ってパソコンカタカタ」だと思ったので、それから出来るだけ自分のデスクを離れて他のメンバーや先輩とコミュニケーションをとる時間を増やした。するとなぜか、その時から少し仕事が楽しくなった。

 

その後転職したリクルートで営業をやった際も、自分のデスクに座っている時間はほとんどなく、毎日お客さん先にいる時間の方が長かった。デスクには座ってる時間は誰よりも短かったが、新人の中では新規が一番多く受注出来た。

 

そして6年前に独立してからは、もう決まった職場の決まったデスクすらなくなった(自宅の仕事部屋にはあるけど)。働く場所はある時は大学、ある時は企業、そして今はカフェで記事を書いているが、デスクワークはほとんどなくなった。でも仕事をしていて楽しいし、ある程度のパフォーマンスも出せているので、社会人になってから一番社会に貢献できていると感じている。自分らしい働き方は「どこか一箇所に留まらず、動き回ること」だと振り返ってみて思う

 

「天職」と聞くとやや大袈裟な言葉に聞こえるが、それは決して特定の職業だけではなく「自分らしい働き方」であってもよいと思う。自分は先輩に「デスクワークが向いていない」と言ってもらえたからこそ、自分らしい働き方を考えるきっかけをもらった。

 

若手にとって当然職場の先輩や上司の言葉はやる気が上がったり、下がったりする原因になるが、すべての言葉に自分自身や自分の働き方に気づくヒントが隠されていると思うだけで、少しでも感謝することができると思う。