「通訳日記」ザックジャパン1397日の記録
日本中が注目した瞬間の舞台裏が1冊の本に・・
こんにちは、小寺良二です。
昨年はボクシングのプロテストに挑戦したりと徹底的に「体」を鍛えたので、今年は「頭」を鍛えていきたいと思っているので、色々な本を読もうと思ってます。読んだ本で「これはっ!!」と思ったものはぜひブログの”MyBooks”でシェアしていきます。
2015年の1冊目の「これはっ!!」と思った本はあのザックジャパンの専属通訳、矢野大輔さんが著者の「通訳日記」。これは矢野さんが通訳になった2010年から4年間の日本代表での日々を綴った日記を書籍化したもの。
「ただの日記じゃん・・」と思う人もいるかもしれないけど、そうただの日記です。笑
面白く編集された訳でも、状況を解説するコラムがある訳でもなく、ただただ◯月◯日に何があって、どう感じた・・という矢野さんの個人的記録がひたすら書かれている本です。
でも、この本の特徴は・・、
とにかく、、
生々しい。
ザッケローニ監督がどのJリーグの試合に行った時、どの選手のプレーにどうな感想を持ったのか。またあの日本中が期待した2014年ブラジルワールドカップで、初戦のコートジボワール戦に負けた時のチームのロッカールームの状況など。。とにかく頭の中にその情景が浮かぶほど、包み隠さずそのままの日本代表の姿が書かれている本です。
1つの使命を多くの人が力を合わせて実現しようとした本
私がこの本を読んで感動したのは2点。実は本の内容よりもこの本が出来るまでのプロセス。
1つは矢野さんがこの本を書いた動機。
矢野さんは今回日記を書籍化するに辺り、その動機について
「勝負の世界の出来事なので、W杯で負けた代表チームが批判に晒されることは覚悟できていた。それでも、腑に落ちない部分がいくつもあった。ザッケローニ監督がやろうとしていたことは、正しく理解されていないんじゃないかと・・。この4年間、ザッケローニ監督は全身全霊を傾けて日本代表チームを作り上げてきた。その事実をより多くの人に伝えていきたい。今はその思いが何よりも強い。」
と本の中で語っている。
私も出版社との仕事はしているのでよくわかるが、出版には色々な目的がある。
最も大きなものは「売上」。売れなきゃどんな良い本であっても出版はできない。それはビジネスでやっている上では当然。他には著者によってはこの出版を通じて知名度を上げたり、自分の他のビジネスにつなげようとする人もいる。それはそれで有効な手段なので良いと思う。
しかし今回の本はそれらの目的だけではなく、大きな「使命」とも言えるものを持った本なのだ。ザッケローニ監督が日本代表というチームに対して、日本サッカー界に対してやってきたことは、やろうとしてきたことは何なのか、それを世の中に伝えること。それは2敗1分というブラジルワールドカップの結果だけで見えてくるものではない。
そしてもう2つめの感動ポイントは、この本を出版する上での大変さ。
私も出版に関わったことがあるのでその大変さはよくわかってはいるつもりだが、たぶんこの本は通常よりももっと大変だったんじゃないかと思う。
なんせ通訳というのは日本代表、選手、監督、さまざまな立場の情報をすべて握ることになる。日記を本にするということは本来機密情報保護の観点から言うと完全にNGなのだ。
それがこうして出版されたということは、どれだけ多くの人たちが腹を割ったことか。どれだけ多くの人が情報漏洩の問題がないか、何度も原稿をチェックしたことか。。
すべては1つの使命のために。。
それを考えるだけで泣けてきた。
みんな、、きっとザックさんが大好きなんだろうと。
そしてザックさんも、矢野さんや日本が大好きなんだろうと。。
そんな、多くの人の愛情と使命感が詰まった本です。
サッカー好きな方も、日本代表に興味のない方も、ぜひ読んでみることお勧めします!