「脳の強化書」〜脳を鍛える66のメニュー〜
脳にも筋肉と同じで鍛え方がある!
オススメの書籍を紹介する「MyBooks」の2冊目は先日読んだ「脳の強化書」。実はこの本の中には脳を鍛えるための66のメニューが書かれている。まるでスポーツトレーングの本のように。
著者の加藤先生は、脳について、ある“ユニークな考え方"を提唱されています。それは、「脳番地」という概念。脳は場所によって、そのはたらきが決まっています。例えば運動をするときには脳のてっぺんが、物を見るときには脳の後ろの部分が反応する……といった具合です。「脳番地」とは、この「場所」と「はたらき」の関係を特定する考え方なのです。本書は、この「脳番地」を大きく8つのジャンルに分け、場所ごとにトレーニングしてみようというもの。トレーニングは全部で66メニュー。
自分は昨年1年間ボクシングのプロテストに向けてとにかく「体」を鍛えてきたので、2015年は「頭を鍛える」という目標をつくった。ただ「頭を鍛える」といってもなんか「勉強する」とはちょっと違う感じがしていて。でもこの本を読んで納得したのが、一般的に勉強は「記憶系」の脳を鍛えることが多い。でも実際には脳の中には色々な役割があって、さまざまな鍛える方法があるということ。
面白かったのは「ゲームにわざと負けてみる」や「褒めノートをつくる」など、確かに勉強ではないけど脳を使うなぁと思うものがたくさんあったこと。気軽に遊び感覚で始められそうだ。
勉強以外で脳を鍛える目的とは?
学生であれ、社会人であれ「勉強」をして知識を頭に入れるのはとても重要な自分磨きだ。でもこの「脳の強化書」では情報を記憶することは、メニューの一部分に過ぎない。他は発想したり、情報を整理するなど色々ある。
じゃあ勉強以外で脳を鍛える目的って何なのだろう・・。
自分は1つあげるとすれば「情報編集力」を身につけることかなと思う。
自分は研修や大学の授業を仕事ですることが多いけど、実際に自分の仕事ではどれだけの知識を「知っているか」よりも、「その場で起きた事実」と「自分の知識や経験」をうまくつなげることができるかが求められる。
例えば自分の目の前に就職活動で苦戦している大学生がいて、相談を受けたとする。
もし自分が多くの知識を持っていれば、その学生に対して業界や企業に関する情報をたくさん提供することができる。
でもそれでは目の前の学生の悩みは解決されない。なぜならその与えられた情報をどう活かしていけば良いのかわからないから。
情報編集力があれば、自分が持っている知識や経験と本人の状況を整理しながら、本人にとって最も必要な情報をうまく編集して伝えることができる。編集され整理された情報であれば、活用もしやすくなる。
こんなことを仕事の至るところで即興で出来る必要がある。
だから記憶系以外の脳を鍛える必要があるし、昨年自分がやっていたボクシングもある意味体だけでなく、脳も鍛えるトレーニングでもあったと思う。
脳を鍛えて、さらにいい仕事をしたい。
男が妻との会話で絶対話した方が良いこと
夫が仕事の話を妻にしたがらない理由とは?
夫婦での会話の内容は家庭によってさまざまだが、最近仕事について話さない夫婦が増えているようです。
ある調査で25~34歳の既婚女性200人(うち専業主婦100人、共働きの妻100人)に尋ねたところ、夫の仕事について「どちらかといえば聞かない・会話しない」と答えたのが71.5%。残りの28.5%は「ほとんど聞かない・会話しない」となり、「よく聞く・会話する」「どちらかといえば聞く・会話する」という回答はなんとゼロ。
妻が夫に仕事の話を聞かない理由の1位は「夫が仕事について何も話してこないから」(51.5%)ということで、多くの夫は妻に仕事の話をしたがらないようだ。
理由は色々あると思うが、もしかしたら「家庭の中に仕事を持ち込みたくない」という気持ちがあるのかもしれない。確かに家にいるときくらい「仕事を忘れたい」と思う人が多いのだろう。
夫婦の会話の内容はそれぞれの家庭の自由ではあるが、私は男は絶対「仕事の話」を妻とした方が良いと思っている。
妻に仕事を理解してもらうことのメリット
私は今年で5年目になる妻と2人の娘がいるが、家ではかなり仕事の話をする。それはやはり仕事をしていく上で大きなメリットがあるからだ。
私は会社員ではなく、フリーランスの立場で働いているので正直、家で仕事をすることがよくあるし、急に休日に仕事が入って家族と一緒に過ごせないことも時々ある。
やはり妻にとっては、当然不満を持つことも多いと思うが、夫の仕事が世の中やクライアントにとってどれだけ”価値”があることかを理解してくれていれば、必ず協力してくれる。
もしかしたら「自分の仕事なんてそこまで価値なんてない」と思っている男性がいたら、ぜひ自分の仕事の価値をよく考えてみてほしい。どんな仕事でも必ず誰かの役に立ち、社会への貢献につながっている。
そしてそれらを妻だけでなく、子供にも伝えてほしい。私は若者のキャリア教育に携わっているが、子供にとって人生最初のキャリア教育は家庭で「パパのお仕事」について聞く事から始まると思っている。
一応うちの長女(4歳)も私の仕事を「お兄さんお姉さんに何かを教える仕事」と理解してくれているようだ。今はそれでいいと思っている。
少し勇気を持って夫婦で仕事について話せば仕事への理解が深まる。家族の理解を得て仕事をした方が必ずパフォーマンスが上がるし、良い成果を出せる。そうしたら自分の仕事にも誇りが持てて、家庭でもっと仕事について話すのが楽しくなるだろう。
「通訳日記」ザックジャパン1397日の記録
日本中が注目した瞬間の舞台裏が1冊の本に・・
こんにちは、小寺良二です。
昨年はボクシングのプロテストに挑戦したりと徹底的に「体」を鍛えたので、今年は「頭」を鍛えていきたいと思っているので、色々な本を読もうと思ってます。読んだ本で「これはっ!!」と思ったものはぜひブログの”MyBooks”でシェアしていきます。
2015年の1冊目の「これはっ!!」と思った本はあのザックジャパンの専属通訳、矢野大輔さんが著者の「通訳日記」。これは矢野さんが通訳になった2010年から4年間の日本代表での日々を綴った日記を書籍化したもの。
「ただの日記じゃん・・」と思う人もいるかもしれないけど、そうただの日記です。笑
面白く編集された訳でも、状況を解説するコラムがある訳でもなく、ただただ◯月◯日に何があって、どう感じた・・という矢野さんの個人的記録がひたすら書かれている本です。
でも、この本の特徴は・・、
とにかく、、
生々しい。
ザッケローニ監督がどのJリーグの試合に行った時、どの選手のプレーにどうな感想を持ったのか。またあの日本中が期待した2014年ブラジルワールドカップで、初戦のコートジボワール戦に負けた時のチームのロッカールームの状況など。。とにかく頭の中にその情景が浮かぶほど、包み隠さずそのままの日本代表の姿が書かれている本です。
1つの使命を多くの人が力を合わせて実現しようとした本
私がこの本を読んで感動したのは2点。実は本の内容よりもこの本が出来るまでのプロセス。
1つは矢野さんがこの本を書いた動機。
矢野さんは今回日記を書籍化するに辺り、その動機について
「勝負の世界の出来事なので、W杯で負けた代表チームが批判に晒されることは覚悟できていた。それでも、腑に落ちない部分がいくつもあった。ザッケローニ監督がやろうとしていたことは、正しく理解されていないんじゃないかと・・。この4年間、ザッケローニ監督は全身全霊を傾けて日本代表チームを作り上げてきた。その事実をより多くの人に伝えていきたい。今はその思いが何よりも強い。」
と本の中で語っている。
私も出版社との仕事はしているのでよくわかるが、出版には色々な目的がある。
最も大きなものは「売上」。売れなきゃどんな良い本であっても出版はできない。それはビジネスでやっている上では当然。他には著者によってはこの出版を通じて知名度を上げたり、自分の他のビジネスにつなげようとする人もいる。それはそれで有効な手段なので良いと思う。
しかし今回の本はそれらの目的だけではなく、大きな「使命」とも言えるものを持った本なのだ。ザッケローニ監督が日本代表というチームに対して、日本サッカー界に対してやってきたことは、やろうとしてきたことは何なのか、それを世の中に伝えること。それは2敗1分というブラジルワールドカップの結果だけで見えてくるものではない。
そしてもう2つめの感動ポイントは、この本を出版する上での大変さ。
私も出版に関わったことがあるのでその大変さはよくわかってはいるつもりだが、たぶんこの本は通常よりももっと大変だったんじゃないかと思う。
なんせ通訳というのは日本代表、選手、監督、さまざまな立場の情報をすべて握ることになる。日記を本にするということは本来機密情報保護の観点から言うと完全にNGなのだ。
それがこうして出版されたということは、どれだけ多くの人たちが腹を割ったことか。どれだけ多くの人が情報漏洩の問題がないか、何度も原稿をチェックしたことか。。
すべては1つの使命のために。。
それを考えるだけで泣けてきた。
みんな、、きっとザックさんが大好きなんだろうと。
そしてザックさんも、矢野さんや日本が大好きなんだろうと。。
そんな、多くの人の愛情と使命感が詰まった本です。
サッカー好きな方も、日本代表に興味のない方も、ぜひ読んでみることお勧めします!
小寺良二の2014年の振り返り
2014年のテーマ『脱線』
こんばんは、小寺良二です。
2014年も残りわずか。今年のテーマは「仕事以外のことに色々脱線してみよう!」ということで『脱線』にしてみました。
別に仕事をサボりたかった?わけではなく、仕事に囚われずに色々な体験をして自分の幅を広げたかったので、このテーマにしてみました。
2014年の振り返りも兼ねて、今年あった出来事を整理してみました。
①若手社会人向けキャリア研修
今までは就職活動中の大学生に対してのみでしたが、今年は初めて社会人になった教え子を集めて若手社会人向けのキャリア研修をやってみました。
②ビジネス誌&テレビ出演
今年は週刊現代、AERA、プレジデントなどのビジネス雑誌や、フジテレビの「ノンストップ」に出演することができました。やはりメディアを通じての発信はインパクトがあるので今後も出来る限り取材は受けようと思ってます。
③ボクシングプロテストへの挑戦
今年最大の脱線はボクシングへのプロテストに挑戦したことです。1年以上かけて体力と体重を大学時代の頃に戻し、プロテスト年齢制限ギリギリの32歳でのチャレンジでした。無事に合格できてよかったです。
④全国の大学職員のファシリテーター養成研修
リクルートホールディングスの若者就職応援プログラム「ホンキの就職」は全国の大学への導入を進めて2年目に突入。すでに全国50大学以上に導入され、70名以上の大学職員の方へ研修を実施した。
⑤長女の真央が幼稚園に入園
4月に娘が幼稚園に入園し、毎日幼稚園に通う生活がスタート。私が毎日同じ時間に出勤することが無理なタイプなので、毎朝決まった時間に遅刻することなく幼稚園に通う娘を本当に尊敬した。最初は泣きながら通園していたのに、今では元気に通うようになって良かった。
⑥人生初めての運動会
10月には娘にとって人生初めての運動会があった。かけっこにどうしても勝ちたいというので、一緒にたくさん練習をしました。結果は3位でしたが、目標を決めて一生懸命頑張ることの大切さを学んでくれたようでよかったです。
「脱線」のテーマのおかげで得たこと
今回「脱線」というテーマで1年過ごしてきたので、仕事に関係ないことも色々やってみようという気持ちで何事にも取り組むことができた気がします。
しかしそれ以上に少し世の中からのレールから逸れたとしても、自分の人生で実現したいと思ったことを遠慮せずに実現することの大切さを学べました。プロテストに挑戦して合格しプロボクサーになったことを知った人の多くは驚きながら「何やってるんすか?!小寺さん!」と言いました。きっと脱線という意識がなければ非常識過ぎて挑戦してなかったと思います。そのくらい今まで色々なことに遠慮していたんだなと。
今年の脱線は必ず来年以降の自分の糧になっているでしょう。
本当に多くの人に支えられた1年でした。来年も楽しみながら色々なことにチャレンジしていきたいと思います。
ではよいお年を!
フジテレビ「ノンストップ!」に出演 〜時々テレビに出るLife Style〜
ひさしぶりのテレビ出演はオンエア前日に収録!?
先日フジテレビの「ノンストップ!」で就職活動についての特集が組まれ、専門家としてインタビュー出演しました。最近は雑誌の取材は何度か続きましたが、テレビはひさしぶり(実は収録は先月もありましたが・・)。
しかし今回はかなり急で取材の依頼が入ったのも、実はオンエアの前日。ちょうど仕事のミーティング中だったので、その後折り返し軽く電話での取材を受ける。そしたら電話先のディレクターさんが「小寺さん・・、本日お台場に来れるお時間ってありますか?」と収録の依頼。
結局その後の予定を前倒しして時間を作り、その日の20時にお台場のフジテレビに行き収録をしてきました。オンエア前日に収録して、夜中かけて編集し、翌日の朝にオンエアというテレビのスピード感と若干の無茶振りに戸惑いましたが、無事に放送されて良かったです。
時々テレビに出るというLife Style
雑誌やテレビというのは自分で出たいといって出れるものではなく、先方(出版社、テレビ局)から依頼があって初めて出れるもの。自分の場合は基本的に取材の依頼があった場合はできる限り協力するようにしている。
正直お金が目的じゃない。よく雑誌やテレビの取材を受けると、たくさんギャラをもらえると勘違いする人がいるけど、そんなにもらえない。普通はもらえても2〜3万。
じゃあ何のために出るのかというと、やっぱり自分の場合はより多くの人にメッセージを発信したいという想いや欲求がある。そのためマスメディアの力を活用できる時はしたいと思う。
あとやっぱり一瞬の出演であっても「テレビに出る」という事実はインパクトが大きいらしく、地元北海道の家族や親戚、高校時代の同級生、大学の授業で教えている学生などはめちゃくちゃテンションを上げて喜んでくれる。
そりゃ、自分の知っている人がテレビに出るなんてことは普通はあまりないことだから興奮するのも当然だけど、自分にとってはお世話になっている人や大切な人をちょこっと喜ばせたり楽しませたりするためって理由の方が大きいかもしれない。
そんな普段あまり出来ない方法で人を喜ばせるLife Styleもいいかもしれない。
すべての就活生の親がするべき本当の「オヤカク」とは?
「オヤカク」をせざるを得ない企業の事情
最近は内定辞退を防ぐために、
私は企業の採用コンサルティングもしているので、オヤカクをする企業の気持ちは痛いほどよくわかる。決して学生本人に決断力がないから親に確認を取るのではない。学生には内定が出たからといって安易に承諾をするのではなく、親ともしっかりと話し合って理解を得てから決断してほしいと思っているのだ。
しっかり考えて話し合った結果の内定承諾であれば本人の納得感も高く、内定辞退だけでなく入社後の退職も防ぐことにつながる。そういう意味では企業が行う「オヤカク」は学生のためでもあるのだ。
しかし本来「オヤカク」とは企業が個別に親に対して行うべきものではないと思う。
本当の「オヤカク」とは親自身が自分の子供に対して行うべきであり、私の考えではすべての就活生の親は「オヤカク」を行うべきだ。
本当の「オヤカク」は親が自ら行うもの
「親がどのくらい子供の就職活動に関与すべきか」というテーマはさまざまな意見があるが、私は個人的な意見としては子供の就職活動を見守りつつも重要なポイントではしっかり関与してほしい。
その重要なポイントの1つが企業から内定をもらい入社する企業を1社選択して承諾する時だ。その時にぜひ「オヤカク」をしてほしい。
よくやってしまいがちなのが子供に「本当にその会社で大丈夫なのか?」と不安や疑いの気持ちを持って聞いてしまうこと。子供にとっては必死に就職活動を頑張って勝ち取った会社に対して「そこで大丈夫か?」と言われてしまうとモチベーションも下がってしまう。
もし自分の子供が企業から内定をもらい承諾をしようとしている時は、
「その会社のどんなところに惹かれたのか?」
「将来どんな仕事がしたいと思っているのか?」
といった問いを興味・関心を持って聞いてあげてほしい。
その問いによって学生はもう一度自分がなぜその企業を選ぶぼうとしているのか、どんな仕事をやりたいと思っているのかを考えるはずだ。そしてその想いこそが本人がその会社で働く際の「初心」になる。
その学生が入社後にイキイキと働けるかどうかは、企業が親への確認を行ったかどうかで決まるのではなく、本人がしっかりとした意思(初心)を持って入社を決めたかどうかが大きい。
そういった意味では子供の就職活動にどのくらい関わるのかは、その親の価値観やスタンスによってさまざまな形があってよいが、子供の社会人としての初心はすべての親に「オヤカク」を通じてしっかりと聞いてもらいたい。
現在「オヤカク」は企業が内定防止の施策として行っているイメージが強いが、本来は親自身が就活の重要なポイントで主体的に行うべき子供との自然なコミュニケーションなのだから。
エントリーを煽ったリクナビは本当に悪いのか?!
リクナビを安易に叩く人がわかっていない大事なこと
今年3月にネット上で話題になったリクナビの「エントリー煽り」について、リクルートキャリアの執行役員で新卒事業本部長の中道氏が東洋経済の11月29日号の記事「『リクナビ』の功罪」で「結果的に不快な思いをした学生さんたちには申し訳なかったと率直に反省している」と釈明をしている。
同社は就職サイト上で学生に対して「あなたのエントリー件数53社 内定獲得した先輩のエントリー件数78社」のように表示し「内定獲得した先輩に追いつく!」というボタンを設置し、企業への一括エントリーページへ誘導した。これが大量エントリーをむやみに煽っているとして、ネット上で批判が殺到することとなった。
私自身はリクルート出身で、かつ現在も同社の若者就職支援CSR事業である「ホンキの就職」などにも関わっているので、きっと何を言っても「あんたはリクルート側の人間でしょ」と言われるかもしれない。しかし1人の若者就職支援のプロの立場として思うのは、このエントリーを促進する機能をつけたことは決しては悪いことではないと思う。
就職活動がうまくいかない学生の課題でよくあるのは、特定の業界や企業にのみ興味が向いてしまい、そこで結果が出ないと就職活動を諦めてしまうことだ。そしてその「特定の業界や企業」はマスコミや商社といった世の中的なイメージが良い業界であることが多い。当然競争率は高くなるので、結果が伴わないこともある。
大切なのはそこからで、自分のやりたいことや希望する職場環境を他の業界や企業からも探していくことが出来れば新しい気づきや出会いがあり、「最初は全然興味はなかったけど、この会社に出会えて良かった!」という結果につながる。
だからこそ、自分の興味を持っている業界や企業以外からの情報をまず浴びるというのは、実は視野拡大のためには絶対必要なのだ。
むやみに「リクナビはエントリーを煽っている」と叩く人はそこがわかっていない。誤解を恐れずに言えば、就活に苦戦する学生にとって正直まずは「どこでもいいから」興味のある業界・企業以外にエントリーすることから始めるのはとても大事なことなのだ。
本来就職サイト上の企業への「一括エントリー」とはそういった情報を得るチャンスである。しかし、なぜそんな便利な機能を作ったリクナビが叩かれるのか?それにはやはり理由がある。
リクナビが叩かれる本当の理由
リクナビがここまで叩かれる本当の理由は、就職・採用業界のリーディングカンパニーであるにも関わらず、若者の就職意識や視野拡大を促進する重要な役割を他の就職サイトと同じように「ボタン1つ」でサクッとやってしまったことだ。
就職活動に関わらず、本来人間は自分の興味関心のわかない情報にはなかなか意識が向きにくい。そういった状態で得た情報に対して、当然行動(応募)はなかなか伴わない。
就職サイト上での一括エントリーは「ボタン1つ」で簡単にできるが、実はその後に浴びる大量の「興味のない情報」から自分の求める情報を探したり、情報と向き合う意識を変えたりすのは簡単なことではない。
例えば今まで大企業に興味がある学生が、中小企業の情報を大量に受け取ったからといって簡単に応募することはない。そこにはもう一度自分の中で大企業のメリット・デメリット、そして中小企業のメリット・デメリットを整理した上で「自分なら、中小企業も合うかもな・・」という意識の変化が必要だ。
それは残念ながら「ボタン1つ」で簡単にできるわけではない。
1人1人の学生の価値観や求めているものと向き合いながら、時間をかけて社会や企業の実態を理解してもらい、学生の行動促進につなげていく。
そう、これはもうインターネットだけでは限界があるのだ。
今まで就職活動と言えば「リクルート=リクナビ」だったかもしれないが、これからは変わるかもしれない。いや、変わっていく必要があるし私はリクルートが率先して変わっていくと思う。なぜなら、良くも悪くも「日本の就職と採用を変えてきた会社」だから。
変わるなら、学生にとっても企業にとっても、大きく言うなら日本にとってより良い形に変わってほしい。そのためには私のような社外の客観的な立場の人間の力も必要だと思っている。ぜひこれからは「ボタン1つ」に頼らない就職活動を創っていきたい。